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突発性難聴と三叉神経起因の耳鳴り.慢性中耳炎について
コロナ禍においては頭痛や耳鳴り、自律神経不調など様々な不定愁訴が増加傾向です。今回は耳鳴りに焦点をあてさせていただきます。
耳鳴りには『耳鳴り』と『耳鳴り感』があります。『耳鳴り』は内耳神経の蝸牛神経という耳の感覚神経が異常発火して起こるものです。
また、三叉神経起因による耳鳴りもあり、こちらは『耳鳴り感』というもので手技療法でアプローチも可能です。三叉神経というと咀嚼筋を働かせることから顎の痛みや顔面痛みのイメージですが、重要な支配筋に鼓膜張筋、口蓋帆張筋がありこれらが耳の障害に多大な影響を与えることがあります。
そもそも音を聴く場合、外耳道(図の青い部分)から入った音波に鼓膜が振動し、鼓膜だけの振動では音を拾いきれないので鼓室(図の緑部分)にてツチ骨キヌタ骨アブミ骨が振動を増幅させ蝸牛(図の赤い部分)に入りリンパ液を振動させることにより耳の有毛細胞が発火して音を認識します。
耳鳴りにはキーン、ジーンという高音のような聞こえづらさと、ボーっ低音が邪魔して聞こえづらいいわゆるプールで耳に水が入った時のような耳鳴りがあります。前者が内耳神経、蝸牛神経由来の耳鳴りであり、後者は三叉神経起因の耳鳴りで『耳鳴り感』となります。
耳鳴りでお悩みの方はご自身の耳鳴りがどちらに分類されるかを見極めるのも改善への道につながります。
図の中の鼓膜張筋(1枚目図で言えば黄色部分)が収縮すると鼓膜をピンと貼り高音を拾い、緩まると鼓膜が弛み低音を拾います。イメージするには太鼓がイメージしやすいです。太鼓の皮をピンと張ると叩く高い音が出て、緩く張るとボンッと低い音が出ます。三叉神経中でも脳幹における橋に所在する三叉神経運動核からでる神経がこの鼓膜張筋を支配しており、三叉神経機能低下によりこのような高音や低音の聞こえづらさが突発性難聴にもつながります。
また、耳鳴り感には同じ三叉神経運動核から伸びる神経支配で口蓋帆張筋も関係します。先程あげた耳に水が入ったような聞こえづらい場合です。このメカニズムは一枚目の図を見返していただきたいのですが、蝸牛骨迷路(赤い部分)から鼓室(緑部分)には誰でもリンパ液が漏れてきます。この漏れ方が必要以上に多いと溜まったリンパ液から炎症を起こし中耳炎となります。急性の場合には病院にすぐに行ってください。
本来はこの余計なリンパ液は口蓋帆張筋の働きで排泄されます。
一枚目の黄色の付近にある耳管を伝って余分なリンパは排泄されるのですが、通常は口蓋帆張筋が弛緩しているので耳管は上の図のように閉じています。同じ図にあるように三叉神経の神経刺激で口蓋帆張筋が収縮して耳管が開くことで排泄が促がされます。イメージしやすいのは唾を飲み込む動きや欠伸で耳の詰まりが抜ける時が耳管が開いてる状態です。
慢性的な中耳炎の人はこの機能が上手く働いておりません。アプローチ的には神経の相同性という機能を活用します。具体的には三叉神経の連動性を利用することです。例えば三叉神経神経は眼神経から瞳孔の収縮を利用して機能低下を測れますし、ルーツは同じ三叉神経運動核起因のため顎の筋肉への刺激入力を介して口蓋帆張筋を賦活させ慢性中耳炎の改善や鼓膜張筋由来の突発性難聴改善につながるようアプローチします。また、頭蓋仙骨療法にを用いて脳神経の所在する中脳橋延髄など脳幹を賦活させます。
再度重複しますが、急性の中耳炎の場合は病院にすぐに行くようにしてください。